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こんなに甘い口づけをくれたら、さっきの言葉なんてすっかり打ち消されてしまう。
このままの関係でいいの?
何度問い掛けたって、悠馬から完全に断ち切ってくれない限り離れられない。
私の悠馬への愛は、美しいものなのか、醜いものなのか―…
どちらなのかを考えると、また涙が零れた。
「ごめん、繭子さんがあんな目にあった後なのに―…嫌だよね」
「違うの……嫌じゃない……」
悠馬の事は嫌になんてなるわけない。
いっそのこと、あなたを嫌いになる魔法があればいいのにって思ってしまう位に私は夢中になってる。
「なんだか涙が出て―…」
「うん」
悠馬は私の濡れた髪にそっと触れて、優しい眼差しをくれた。
「バスタブに漬からないと寒いよね。シャワーで流すから」
「ご、ごめんなさい……」
「違うよ。繭子さんの身体が冷えて風邪なんてひいたら困る」
シャワーを少し強めると、私の身体を温かいお湯で流してくれる。
きめ細やかに泡立ててくれた泡が流れていく。
〝愛している”
私が悠馬に抱く言葉を悠馬は私には言ってはくれない。
〝必要としているよ”
それは、私を慰めてくれる為の精一杯の表現なのかもしれない。
確たる愛情はなくても、そこに何かしらの私を気にかけてくれる気持ちが存在するのなら、
まだあなたと繋がっていたい。
私も悠馬もシャワーを浴びて、浸かったバスタブの中―…
あなたはずっと、私を背中から抱きしめてくれていた。
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