24、ユスリ

1/11
前へ
/40ページ
次へ

24、ユスリ

ウェディングベルが聞こえる。 私は純白のドレスに身を包み、永遠の誓いを交わすひとを待っている。 〝繭子さん” 名前を呼ばれて振り向くと、そこには私が望む愛しい人とは別の男性がいた。 タキシード姿で私の名前を呼んだのは―… 柘植さん。 〝さぁ、僕達の式が始まります。行きましょう” 違う…… 私が永遠の愛を誓うのは柘植さんじゃない…… 〝僕の花嫁になると約束したじゃないですか。弟も祝福してくれていますよ” やめて…… 〝さぁ、僕の手をとって―…” ヤメテ―…っ!! その場に蹲り大きく叫ぶと、次の瞬間、目の前には教卓と黒板があった。 〝椎原先生” この声は岬先生。 また振り向けば、生徒の席に足組をして座る岬先生がいる。 〝椎原先生が時々何時もよりも綺麗に見える理由が分かりました。彼のおかげなんですね” グロスがたっぷり塗られた唇から、放たれるそんな言葉…… 〝だから私も試させてもらいました。悠馬、すっごく素敵ですよね。私が感じるコト、直ぐにわかってくれるんです。もちろん、私もたっぷり愉しませてあげました” 嘘よ。 岬先生の言葉は全て嘘よ……!
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加