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24、ユスリ
ウェディングベルが聞こえる。
私は純白のドレスに身を包み、永遠の誓いを交わすひとを待っている。
〝繭子さん”
名前を呼ばれて振り向くと、そこには私が望む愛しい人とは別の男性がいた。
タキシード姿で私の名前を呼んだのは―…
柘植さん。
〝さぁ、僕達の式が始まります。行きましょう”
違う……
私が永遠の愛を誓うのは柘植さんじゃない……
〝僕の花嫁になると約束したじゃないですか。弟も祝福してくれていますよ”
やめて……
〝さぁ、僕の手をとって―…”
ヤメテ―…っ!!
その場に蹲り大きく叫ぶと、次の瞬間、目の前には教卓と黒板があった。
〝椎原先生”
この声は岬先生。
また振り向けば、生徒の席に足組をして座る岬先生がいる。
〝椎原先生が時々何時もよりも綺麗に見える理由が分かりました。彼のおかげなんですね”
グロスがたっぷり塗られた唇から、放たれるそんな言葉……
〝だから私も試させてもらいました。悠馬、すっごく素敵ですよね。私が感じるコト、直ぐにわかってくれるんです。もちろん、私もたっぷり愉しませてあげました”
嘘よ。
岬先生の言葉は全て嘘よ……!
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