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「繭子さん―…!?」
ハッとして、大きく目を開けていた。
今、私の瞳に映るのは、
「ゆうま……」
大切なひと。
「大丈夫?だいぶ魘されていたけど―…」
「わたし……」
「怖い夢を見たの?」
「―…」
怖い―…夢だった。
けど、夢で良かった……
「だいじょうぶ……夢……だから」
「ミネラルウォーターを持ってくるよ。飲んだら少しは落ち着くかもしれない」
悠馬はキッチンに行くと、グラスにミネラルウォーターを注いで持ってきてくれた。
「はい、繭子さん」
「ありがとう―…」
一口飲むと良く冷えたウォーターが喉に入っていくのが気持ちよくて、ゴクゴクと飲み干してしまう。
「まだ、気分が優れない?」
「ううん……大丈夫。それより、もう朝なの……?」
「夜明けまではまだ少しあるよ。眠る?」
「悠馬は……?もう仕事に行くの?」
昨晩はバスルームから出た後、パジャマまで着せてくれて、髪の毛もドライヤーで乾かしてくれた。
その後は、悠馬の腕の中で眠りについた。
〝大丈夫。繭子さんの傍にいるよ”
何度もそう、囁いてくれた気がした。
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