24、ユスリ

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今朝の靴箱には何も異変はなかった。 〝覚えてなさいよ……” そう私に放った深見さんの言葉は単なる脅し文句とは思えない。 朝礼の為に教室に入ると、どうしても一番前の窓際の席を気にしてしまう。 深見さんは―… 出席してた。 「おはようございます。本日の朝礼を始めます―…」 声は震えていない……? 「まず連絡事項ですが、三時間目の数Ⅱですが、四時間目の体育と入れ替わります」 日課表の変更を黒板に書く手は震えていない……? 「あと、中間テストの答案が返ってきています。名前を呼ぶので取りに来てください」 出席番号順に名前を呼んでいって、 「深見―…さん……」 彼女の番になった時、私の表情はこわばっていなかった―…? 答案を取りに来た深見さんは、 「―…」 私と目を合わせるわけでもなく、けれどもそれが彼女の普段通りと捉えられる様子でテストを受け取ってくれた。 その後も特に何かをしてくる様子もないし、教卓や靴箱で変わったことが起こることもなかった。 私が…… 疑いすぎているの?
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