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「と、とにかく!今すぐ煙草を消してください!」
「うっさいなー。消すってば」
深見さんは不機嫌な顔でコンクリートに煙草を押し付けた。
「深見さん―…あなたどうして煙草なんて……未成年の喫煙は法律違反よ?校内では謹慎処分になるのよ?」
「はぁ?あたし、煙草なんて吸ってませんけど」
「吸ってないって―…手に煙草を持ってるじゃない……」
「だーかーらー、持ってるだけで吸っていた事になるんですか?あたしは火の点いたままの煙草を見つけたので危ないと思って消しただけですよ?」
「け、けど―…」
「あたしが吸っていたところを椎原先生はしっかり見たんですか?」
深見さんが煙草を吸っていた所―…
確かに、私は見ていない。
「いえ……」
「み・て・な・い、んですよねぇ?それなのにいきなり決めつけて謹慎処分だなんて脅すんですか?」
タン、タン、タン、と苛立ちを表すように深見さんはコンクリートを上靴で蹴る。
決めつけたつもりは無かったけど、手に煙草を持っていたから―…
「ごめんなさい……」
「生徒を疑うなんて酷い先生。それに例え私が喫煙していたって先生に注意される筋合いはないです」
「深見さん……」
「だって、椎原先生なんてもっと悪い事してますもんね」
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