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「ストーカーみたい、とでも思われているかもしれませんね。けれども今日は大事な話があるんです」
「何ですか……?」
「ここでは話すことは出来ません」
「ここで話せないのであれば―…私も聞くことは出来ません……」
せっかく柘植さんの電話に出ないようにしていたのに、まさかマンションの前にいるだなんて考えていなかった……
もう、柘植さんと関わってはいけない。
そう思っているのに、
「この件は一番繭子さんが困ることになるかもしれないんですよ。僕の〝弟”も関係する重要な話です」
「おとうと―…って……」
「逢坂悠馬です」
悠馬にも関わってくる話―…?
「ゆっくり話が出来る場所へ移動しましょう」
「それは―…できません……」
「今、ちゃんと僕から聞いておかないと大変な事になるかもしれないんですよ?本当にいいんですか?」
「―…」
また、柘植さんは私を動かそうと誘導する。
もう、柘植さんの手には乘ってはだめ。
駄目。
もう一人の私がそう警告している。
けれども、
「彼にも関わる事なんですよ?僕の話を聞かなければ彼の〝これから”に何らかの問題が生じる事になるでしょう」
〝悠馬”に〝問題”が―…
そんな事を言われてしまうと、
いいの?本当に柘植さんの話を聞かなくていいの?
話を聞かなかったことで悠馬に何か支障が出たらどうするの?
そう忠告している私もいる。
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