23、救イ

4/13
53人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「きょうは……会議がながびいて……パンをかって帰るとちゅうに……ゆうまが電話をくれて……」 「うん」 「突然……くちを……後ろからふさがれて……それで……けいたいが……」 そうだ。 携帯。あの瞬間に落としてしまったんだ。 「どうしよう……携帯をどこかに……悠馬からの着信やメールがだれかにみられたら……」 「落ち着いて繭子さん、携帯なら俺が持っているから」 「どうして……?」 「この通りに入る手前に落ちていたんだ」 「私のってわかったの……?」 「繭子さんの使っているケースくらい覚えているよ。もしかしてと思って、この路地に入ったら繭子さんがいたんだ」 あの電話から本当に早く悠馬は駆けつけてくれた。 まるで見えない糸を手繰って、見つけてくれたみたいに。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!