23、救イ

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「ケガはない?」 「う、うん―…」 そう答えたけれども、 「眼鏡が落ちてる」 頬をぶたれた時に落ちてしまった眼鏡に悠馬が気付く。 悠馬が拾い上げてくれた眼鏡はフレームも曲がって傷ついていた。 柘植さんがお詫びに買ってくれたものだけど、また、駄目にしてしまった―… 「繭子さん、顔を見せて」 「え……」 「もう少しこっちに来て」 僅かに明るさのある場所で私の頬に手を添えると、悠馬は顔を近付けた。 「もっと近くに」 「っ……」 濃い茶を帯びた瞳に見つめられる。強い眼差しはインペリアルトパーズを彷彿させるみたいに美しい。 美しくて、怖いほどに。 「赤く少し腫れてる―…」 そこには怒りが見える…… 「ご、ごめんなさい……ちょっとぶたれただけで―…大したことはないの……」 「警察に行こう」 「警察だなんて……本当にそんな大げさな事じゃないの……他に何かされた訳でもないし……」 「それは?」 「こ、これは……学校の資料……こんなになっちゃったけど……」 投げつけられた紙の事を悠馬に聞かれて、焦って、とっさにそんな返しをしてしまった。 皺くちゃになった紙を見えないように折り畳み、鞄にしまう。
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