封印

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その数日後、フレッドに釘を指し、 一夜を共にする。 その後は、誰に気づかれることもなく、 食事にも顔をだし、日本に帰る日取りを決め、 慌ただしく日にちは過ぎていった。 神崎だけ部屋に呼び、フレッドは連れていくことを伝えると、 おめでとうございますと言われるが、 それでも誰にもまだ言うなと釘を指し、 日本の屋敷にはフレッドにも仕事を手伝ってもらうこと、 日本に住むことは決まっていたので、部屋を用意しておくようにしておいてもらうこと。 それだけを伝えるようにだけいい、 懐妊がわかるまでは誰にも言わないように指示を出す。 「まさかこんなことで命令を出すとは思ってなかったよ。」 「これは、他のvampireの例でしかないのですが、 大体隠し通せるのは二ヶ月が限界だと。 人間よりも早く生まれ、早く育ちますので。」 「早く育つ?」 「私の知る限りでは、二ヶ月で首が座り、 三ヶ月には歯が生え始め食事が始まり、 半年もすればなにかに捕まって歩くと...」 「人間の半分ね。」 「ただ、フレッドの銀髪も伯爵家でも珍しく、おじいさまのジョンでさえ、 銀髪ではあるもののフレッドまでの銀ではありません。 加えて金の瞳のこともあるので、お子がどのような力をもってお生まれになるのか...」 「生まれてから考えたらいいんじゃないの?」 「準備もありますので、ご懐妊のお印がありましたら、 婆やを常につけるようにします。」 「まぁ、二ヶ月隠せるんならいっか。」
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