現れた死神

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少女は、死神に恋をした。 少女は、不治の病にかかり、余命一週間とされていた。 少女に残された時間は、ただ真っ白な部屋の中で静かに暮らすだけだった。 死の宣告をされても、少女は笑ってた。 少女の両親が家に帰り、少女も残された時を感じながら眠ろうと思ったその時声が聞こえた。 「君、今日を抜いて後一週間だね」 少女は驚き目を開けた。 目の前には、真っ黒な鎌を持った少年がいた。 「・・・誰?」 「僕は死神。 君の魂の担当になった」 「死神・・・? そっか・・・」 少女は笑った。 「・・・? 怖くないのか?」 今度は少年が驚く。 「死は必ず訪れるもの。 そうでしょ?」 少女は続ける。 「私は、それが早いだけ。 これが私の運命なの。 神様が決めたことだもの。 抗いようがないわ」 「へぇー、珍しいね。 死が怖くないなんて。 僕が今まであった人間はみんな僕を見て怖がる。 死にたくないなんて僕に懇願するんだ。 僕にそんな権限はないっていうのにね」 「どうかしら? 私は、本当に死が怖くないのかな? 自分を偽っているのかもしれない。 本当は、あなたと出会った人たちと同じなのかもしれない」 少女は外を見た。 「死は必ず訪れるものだけど、1つだけやりたかったことがあったの。 あなたにそんな義務はないのだけれど、聞いてもらえないかしら? 最後は笑って逝きたいの」
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