1人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かに僕に君の願いを叶える義務はない。
だけど、珍しいから叶えてやらなくもない」
「優しいのね。
私の願いは、恋人が欲しかった。
私、まだ16年しか生きてないの。
だから最期に恋人が欲しいの」
少女は少年を見つめる。
「いいよ。
僕が君の最期の恋人になってやる。
君のその顔が、最期にどう歪むかも見ものだしね」
「顔は美少年なのに意地悪なのね」
「君も、おとなしそうだけどよく言うね」
少年は続ける。
「君の願いを叶えてあげるけど、1つだけ注意事項があるんだよね。
僕のことや死神について他言しないこと。
これが守れるかい?」
「私、口は堅い方よ」
「なら、安心だ」
少女は、眠いのだろう。
瞼が落ちてきた。
「もう1つ願いが叶うのなら・・・」
少女は小さく呟く。
「学校に行きたかったな・・・」
その言葉を最後に少女は意識を手放した。
スースーと規則正しい寝息が聞こえる。
少年は少女に近づき髪を触った。
「学校・・・ね。
いいよ、それも叶えてあげよう。
君には退屈しなさそうだ」
少年は笑った。
・・・後7日・・・
最初のコメントを投稿しよう!