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「せんぱーい、菜緒(なお)せんぱーい」
私を目指して元気よく走ってくるのは、1年の安藤君だ。
「先輩捕まえた」
そして、人前にも関わらず、私に抱きついてくる。
「こら、安藤君離して。
みんな見てるから」
「いいじゃないですか。
先輩、大好きです」
隣で香ちゃんがクスクス笑っている。
あの日、学年も違うしもう会わないだろうと思った安藤君は、次の日から私を見かけると抱きついてくるようになった。
最初はびっくりしていた生徒達も、安藤君のあまりの無邪気っぷりに今では笑顔で見守っている始末……。
「もう、付き合っちゃったら?
お似合いだよ」
頭をぐりぐりしてくる安藤君を見ながら、香ちゃんが言った。
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