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グラウンドからは運動部の声が聞こえるし、隣の校舎からは吹奏楽のにぎやかな音が聞こえている。
だから、怖くないはずなのに。
しん、と静まった廊下にパタパタと私たちのスリッパの音だけが響いて、ゾクゾクする。
「わっ、何?」
突然、安藤君が抱きついてきた。
「すみません、でも怖くて」
そうだね、分かるよ、分かるんだけど、突然抱きつかれたらびっくりするから。
でも、人の体温って、なんだか安心する。
私たち2人は寄り添いながら、なるべく早足で特別棟を抜け出した。
「はあ。怖かった」
校舎の外に出た途端、安堵のため息が出る。
まだこんなに明るいのに。
大丈夫だと分かった途端、あんなに慌てていたのが可笑しくなった。
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