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ー前語り「街角」・少女ー
毎日、さして変わらない。起きて、行くべき場所へ行って、夜には帰り、そして眠り休む。そういう事の繰り返し。生まれて死ぬまで、大雑把に見てしまえば同じ事の繰り返し。
私はそう言う日常をずっと見ている。街角でずっと。
いつから私がそうやって日常を観察する様になったのかは解らない。気付いたら、この街角に居た。たまには場所を変えてみようか、と思ってもやっぱりこの場所に居るから、多分私はこの街角が気に入っているんだと思う。
特別人通りが多くて賑やかな訳でもない。朝と夕方に通学の中学生が多く通るだけの学校の傍。中学生は毎日それなりに楽しそうに見える。数人で集まっては、他愛ない話に笑っている。きっと、彼女達なりに大変な事や悩みだってあるんだろうけれど、全部笑い飛ばして楽しくしている。
私はそんな姿を毎日を、ずっと見ている。
どうしてだか、声をかける気にはならない。私は彼女達が楽しそうにしているのを見ているだけで満足していた。だから、私は彼女に声をかけられた時に凄く驚いてしまった。
「いつもそこに居るのね」
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