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一生懸命考えた私が問いかけた言葉は少しおかしかったかも知れない。でも、まだ下校時刻には早過ぎる午後。紫苑は一人で歩いてきて、そのまま私の隣にしゃがみ込んだ。
「……行ってない」
「どうして?」
「行っていないと、へん?」
私はそう返されて、言葉に詰まった。この時間にここに居る私も学校に行っていない。それが変だと言ってしまえば、私だって紫苑の事をどうこう言えない。
「変じゃ、ないよ。でも制服だと目立つよ」
「平気」
話しかければ答えるけれど、紫苑はしゃがみ込んだまま私に顔を向けない。だけど、話しかけられるのが嫌な訳ではないみたいだ。口調は淡々としていてよく解らないけれど、無視はしない。
私は紫苑の隣にしゃがみ込んだ。同じ位の目線の高さになって隣を見ると、遠くを見ている様な紫苑の綺麗な横顔がある。
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