はじまりのジャメヴ

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壁には何百という古い時計が掛けられていて、 カチカチカチという秒針を刻む音色が ハーモニーとなって聞こえてくる。 あああ、なんだか緊張が増幅されるような気するよ。 「わかりません」 そう答えるしか、ないよね。 だって本当に知らないんだもの。 あたしがそう告げると以外にも店長は 少年のようにくしゃっと笑って返してくれた。 「そりゃ当然だろね、俺も知らなかったから デジャヴの反対語は、『ジャメヴ』っていうんだ」 「ジャメヴ……」 「フランス語で『一度も見ていない』って意味なんだとさ」 ジャメヴーー
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