58人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっと着いた…」
そう呟いたのは勇者であるナギだ。髪は紺色で勇者らしい活発な様が伺い知れる短髪、前髪は真ん中で分けて眉毛に掛かるくらいの長さ、瞳は海の様なサファイア色。
年齢は20歳、ピチピチの若人である。
彼は王様からの命により、魔王を倒す様に言われている。
そして、今居る場所はその道中にある街、”セカンドタウン”。
つまりは、はじまりの街の次の街と言う事である。
ナギはまだ冒険に出たばかり。しかし、思っているよりも大変な様で…。
「なんで、はじまりの街から山を2つ超えた先にセカンドタウンがあるんだ…っ!」
机があったらダンッと叩きたい。そんな勢いで独り言を放った。
そして、はっと冷静になり周りを見回す。今は夜で人通りはなかった様だ。誰も彼を見ている者は居なかった。
(良かった…
とりあえず宿に行って泊めてもらえるか聞こうかな)
今日は本当に疲れた…。そう思いながらナギは宿を探した。
先程の場所は街の入口付近だったからか人が居なかった様で、街の中に進んで行くと酒屋があったり食事処があったりとかなり賑やかになって来る。
お店から聞こえて来るガヤガヤとした声。なんとなしにナギはその賑やかな声を聞きながら歩いた。
(宿でご飯が出なかったらここで食べようかな)
1つの食事処を見つけた。他のお店よりも賑やかさに欠ける静かなお店だ。
ナギはあまり賑やか過ぎるのが苦手で、目立つ事が苦手だ。
勇者の証を身に着けて居るのでバレればすぐに囲まれる事を知っている。
じゃあ何故、勇者になったのか?それは親が勝手に履歴書を送ったからです。芸能界によくあるパターン。
そして、勇者になる者には前金が払われるので、そのお金で親はウハウハしている。最低だね!
最初のコメントを投稿しよう!