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 春樹の行方は未だ知れない。愛は無かったが、信頼関係で繋がっていたはずの妻、真美とも別れた。親友の窮地を救ってやるどころか、自殺させてしまった。一気に押し寄せた嵐に、俺は荒んでいった。  仕事はそれなりに忙しかったが、仕事が終わっても直接帰宅せず、しばらく止めていた男漁りをした。しかし、体だけの関係で心が満たされる訳が無かった。そうこうするうちに、会社での立場が高くなり、スケジュールを管理されるようになると、それも出来なくなった。唯一、時間を見つけてマスターの店に顔を出すくらいが精一杯だった。
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