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「…清水…た、頼む、許して…」
ナオの声がどんどん小さくなる。
それにつれて、周囲のざわめきが増して、アタシの耳にも入ってきた。
そのとき、誰かがポンと背後からアタシの肩を叩いた。
「…いい加減にしたら、どうだ、清水…相手も反省してるようだし、この辺で
許してやったら、どうだ?…」
アタシは声のする方を振り返った。
学年主任の小坂の姿がそこにあった。
小坂は四十代で、学生時代を柔道一筋で生きてきたという噂を持つ、ゴツく
て、大柄な男だ。
…チッ、小坂か…
アタシは心の中で、舌打ちすると、仕方なく、ナオを絞める手を離した。
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