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「あ……あの、あたし。あなたの彼氏さんに頼まれて様子を見に来たんです……」
「彼氏……? ああ、己龍のこと。外にいるの?」
美少女は物憂いため息を一つついて、横になっていたカウチの上に起き上った。
「は、はい。待ってるみたいですけど……大丈夫ですか。顔色、良くないよ?」
元々色白ではあるのだろうけど、それにしても青白い。
「うん……いつもは少し休めば楽になるんだけど、なんか今日はダメ……」
同い年くらいだろうか。ばっちりメイクしてるから確信はできないけど。
「帰ってお家で休んだ方がいいと思う。動けそうにない?」
「そうしたいんだけど、力入らなくて……」
辛そうに頭をもたげて目を閉じる様子がなんとも痛々しい。可愛い子がこんな風に儚げな風情でいると、男じゃなくても何とかしてあげたくなってしまう。
あたしは彼女の隣に腰を下ろして、その背中に腕を回した。
「あたしが支えて歩いてあげるから。なんとか彼氏さんの所まで……!」
ぷちゅ。
(あぅ……!?)
倒れ込んで来た彼女の唇が、あたしの上唇に重なった。
ぱちっと開いた大きな瞳とあたしのドングリまなこが、数センチの距離で交錯する。
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