虎と龍とにゃんにゃんと

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「……やん、ぶつかっちゃった。ごめんね……」 「…………」  硬直するあたしに、彼女がテヘと笑いかける。 「…………ダイ、ジョーブ……」  他に言葉が見つからない。  初めてだけど、ファーストキスと言えばそうだけど、でも相手は女の子。しかも今のは衝突事故のようなモノだ、気にする方がおかしい。  そう思うのに、あたしは言い知れぬショックで脳みそがショートしたまま、石像のように動けない。  すると彼女はふと思案顔になって、今あたしに触れた自分の唇を確かめるように指でなぞった。 「んん……? なんか……あれ? ……ねえ、変な事聞くようだけど。もしかして君、さっきここで……ええと、猫っぽいモノ見たりした?」 「うん……まぁるいお耳のニャンコ……」  まだ脳みそショート中。 「え、見たの? 君、星宿(せいしゅく)持ち?」 「ごへい餅なら……好き」  まだまだショート中。  「ごへ……? 違うのかな。うーん……。じゃ、もう一回ね」  そう言った瞬間、彼女の唇が再びあたしの唇に押し付けられた。  今度は確実に、ご丁寧に小首を傾げてピンポイントで。 (…………っ!)
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