366人が本棚に入れています
本棚に追加
柔らかな感触、甘いグロス。
くらくら、くらくら、マヒした頭と心が回る。
今、あたしのファーストキスを確信的に奪っているのは、ファッション誌から抜け出したような超絶可愛い……女の子。
(なんで? どうしてこんなコトに? てかあたし、なんで動けないの!? この子いわゆる百合っ子? でも彼氏いるんだから両方オッケーなやつ……なんて言うんだっけ。えと、ほら……バ、バ、バイ……、バイセコー! それはチャリだ、両刀使いだ! この街はそういう方々がウヨウヨしてるの? 野放しなの放し飼いなの!?)
東京ジャングル、やはり恐るべし――!!
「……あは。なんか可愛いー……。でも、どうやらホントに当たりみたいだ」
いつの間にか唇は離れ、ベビードールのお顔も離れていく。
この間、およそ2秒くらい。
「ごめんね。ちょっと確かめてみたかった」
いたずらな瞳で、彼女があたしの唇に移った口紅を指先で拭ってくれる。
「……あり、がと……」
あ、またお礼言っちゃった。
「おかげでだいぶ楽になったよ。じゃあ行くね、己龍が騒ぎ出す前に。アイツ怒ると怖いんだー」
最初のコメントを投稿しよう!