虎と龍とにゃんにゃんと

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 柔らかな感触、甘いグロス。  くらくら、くらくら、マヒした頭と心が回る。  今、あたしのファーストキスを確信的に奪っているのは、ファッション誌から抜け出したような超絶可愛い……女の子。 (なんで? どうしてこんなコトに? てかあたし、なんで動けないの!? この子いわゆる百合っ子? でも彼氏いるんだから両方オッケーなやつ……なんて言うんだっけ。えと、ほら……バ、バ、バイ……、バイセコー! それはチャリだ、両刀使いだ! この街はそういう方々がウヨウヨしてるの? 野放しなの放し飼いなの!?)  東京ジャングル、やはり恐るべし――!! 「……あは。なんか可愛いー……。でも、どうやらホントに当たりみたいだ」  いつの間にか唇は離れ、ベビードールのお顔も離れていく。  この間、およそ2秒くらい。 「ごめんね。ちょっと確かめてみたかった」  いたずらな瞳で、彼女があたしの唇に移った口紅を指先で拭ってくれる。 「……あり、がと……」  あ、またお礼言っちゃった。 「おかげでだいぶ楽になったよ。じゃあ行くね、己龍が騒ぎ出す前に。アイツ怒ると怖いんだー」
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