そうだ、トーキョへいこう

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   ──意中の彼を呼び出したのは、雪がチラつく放課後の体育館裏。  クリスマスまであと一週間ほどだから、うまくいったら今年は今までにない素敵なイブになるはず。  時期的に考えても、あたしにとってこれが中学最後のチャンスだ。  今度こそ……! 「……えーとさ、それってつまり俺と付き合いたいって事?」  コクコクとうなずくのが精一杯。  自分が今、なんて言って告白したのかもよく覚えてない。 「ふーん……」  ハラハラと落ちてくる雪をうっとおしそうに見上げながら、木下君は言った。 「……俺んとこにも来たかー」 「はい?」  ドキンと胸が鳴る。でもこれはトキメキのドキンじゃない。 「俺で何人目よ? お前、もう十人以上は告ってるよな」  …………十三人目です。 「つまりさ、俺はお前のランキングの中じゃ十番以下なわけだ」  ……そういう事じゃなくて。  この前あったバスケ部の県大会、準決勝までいったのに負けちゃったでしょ。部長だった木下くんの震える背中が苦しくて……その時から気になり始めたの。  『あたしが笑顔にしてあげられたらな』って……。
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