虎と龍とにゃんにゃんと

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(……! なにこれ、美味しすぎ! サクッとフワッと、深い甘さ。ああ、東京に来て良かった……ビバトーキョ!)   改めてフレンチトーストと、本日上京できた喜びを噛みしめる。  あれから数か月、昼も夜もなく勉強してなんとか志望校に合格できた。  反対すると思っていたお父さんも、意外にもアッサリ、というか少し哀しそうな目をして東京の高校を受験する事を許してくれた。  但し、かなりレベルの高い私立校を指定され、住む所もお父さんの知り合いの人の家にお世話になると言う条件付きだったけれど。 (でも、パンフレットに出てた制服も可愛かったし、元々地元から出られれば受験校はどこでも良かったんだもんね……)  今でも思い出すと胸がチクンと痛む。  フラれ続けて13人、告り魔夕愛の信州伝説。 (きっとあたしってどこかズレてる感じがあるんだろうな……。でも自分じゃよくわかんないや……)  女の子の友達はけっこういたし、断られるたびに彼女たちも首を傾げてくれた。  それでも誰一人、あたしを受け入れてくれなかったのは事実なわけで、それを思うとやっぱり顔がくしゃくしゃになってしまう。
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