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ハロウィンの日、太陽が落ちると同時にあたしたちはサイレントヒル公園を出て、通りで二手に分かれた。
姉さんたちはちぎれそうなほど両手を振って、くりぬかれたカボチャのジャック・オー・ランタンが飾られているにぎやかな住宅街のほうへ向かった。
一人になったあたしは伸びをして肩の骨をポキポキ動かした。
一年ぶりの墓の外はとても気持ちがいい。
公園から少し離れた大通りまでくると、仮装をしたモンスターたちがぞろぞろと歩いてくるのが見えた。
大きなお菓子入りのバッグをかけてる幽霊、とんがり帽子の魔女。口がさけたお姫さまなんかが楽しそうに列を作っている。
あたしはその列になに食わぬ顔をして並んだ。
そのまま数分が経過した。
だけど、だれも悲鳴をあげない。
みんな自分たちの変装に満足してぺちゃくちゃしゃべるのに夢中になっている。
あたしは一人でうれしくなってほほえんだ。すると、ふいに隣にいたフランケンシュタインがあたしの方を向いた。
ぶよぶよのただれた顔をしたフランケンシュタインは、リビングデッドの仲間なんじゃないかと思うくらいに分厚そうな肌質とかよく似てる。
「ハロー、フランケン!」
あたしはあいそよく話しかけてみた。
「あなた、本物?」とあたしが聞く。
フランケンシュタインは縦にうなずいた。
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