第1章

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 と言いながら王さまが運転席の黒いレバーを動かした。 ショベルの中のお地蔵さまがグイーンと高く持ち上げられていく。 「ねぇ、どうしてお地蔵さまを工事するの?」 「余はつまらぬものがキライなのだ。つまらぬものは処刑する。それが余の法だ。だから、この地蔵は絞首刑だ」  王さまはサファイアの瞳を横に動かした。 「この地蔵を見よ。これまで、なんとつまらなそうに立っていたことか。こんなものは無いほうがよい。見る者が不快になる」 「そうなのかな?」  おさないわたしは首をかしげる。 「ねぇ、そんな工事なんて王さまの家来にやらせたらいいのに。王さまに家来はいないの?」  すると、王さまは答えた。 「昔はいた。だがそんなつまらないものは処刑した」 「そうなの」  しばらくして、わたしはまた聞いた。 「王さまに大臣はいないの?」 「昔いた。だがそんなつまらないものは処刑した」 「そうなの」  しばらくして、わたしはまた聞いた。 「王さまにお妃さまはいないの?」 「昔いた。だがそんなつまらないものは処刑した」 「そうなの」  しばらくして、私はまた聞いた。 「じゃあ今、王さまの周りにはだれがいるの?」
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