第1章

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「みんな処刑して誰も残っておらぬ。つまらぬ」 「そうなの。みんな『しょけい』しちゃったんだね」  しばらくしてわたしは言った。 「王さま。この世界には楽しいことがたくさんあるよ。それなのに、どうしてつまらないの?」 「娘よ。おまえはエンターテイナーを知っているか?」 「えんたーていなーってなに?」 「人を喜ばせ、感動させるものだ。そういえば昔、余のためのエンターテイナーがいた」 「それも『しょけい』しちゃったの?」  どきどきしながら私は聞いた。  王さまはまぶたをふせて首をふる。 「昔、余にはうさぎのピエロがいた。そのうさぎは人の言葉がわかるほど利口だったし、礼儀もあった。うさぎは余の前にひざまづき余を楽しませると小さな心臓にかけて誓った。よほどの自信があったのだろう。「もしも王さまが楽しくなかったら、ボクは首をつって死にます」とうさぎは宣言した。「ああ、そうか。そうしろ」と余は答えた。処刑する手間がはぶけると思った」  だが、と王さまは言葉を続けた。
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