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わたしのおでこに一つの滴が降ってきた。
その後で、引っ張りあげられてもらったとき、大粒の雨がわたしと王さまをぬらしていた。
だけど、きっと最初の一滴はブルーサファイアの涙だったんじゃないかな。
とても短い通り雨だった。
わたしと王さまがびっしょりになった後には、青空になって白い雲の間から太陽が笑い出した。
「うふふふっ」
いつのまにか、わたしは太陽といっしょに笑っていた。
「うさぎの娘よ、何故、笑っている?」
王さまがふしぎそうにわたしを見つめた。
「決めたの。わたし、小学生やめて王さまのうさぎのピエロになる。わたしがいるよ、王さま。わたしが王さまのうさぎになる。王さまをずっと楽しませるよ。それで、もし楽しくなかったとしても……。そうだとしてもわたしは死なないよ」
わたしは死なないうさぎのピエロです。
だって、王さまに悲しい顔をさせたくないから。
「ずっと王さまを楽しませつづけるよ」
その言葉を証明するように私は笑った。
「誓うのか?」
「ううん、約束だよ。約束」
今度の約束はぜったいに。きっと……。
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