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その日、王さまがこんなことを言い出した。
「今日はこの機械人形と晩餐をする」
王さまは自分の横の席にうさぎ人形をおいた。そのままイスにおくと小さくて見えなくなるので、分厚いクッションをしいた上にちょこんとうさぎ人形が乗っている。
「そこはいつもわたしの席なのに!」
わたしは怒って抗議した。だけど、王さまは聞き入れてくれなかった。
王さまは料理を食べてるときもうさぎ人形につきっきりで話しかけてはねじを回して遊んでいた。
わたしのことなんて、ほうっておきっぱなし。なんだかおもしろくない。
それから少しの間、王さまが広間からいなくなった。
そのとき、静かな広間で急にうさぎ人形が笑い始めた。
「『グフフフフ、グフッ、グフッ、グフハハハ!』」
だけど、ねじをまわしたときと笑い方が違う。
おなかの中からくすぐられてるみたいな声。
「『王さまのうさぎになるのも簡単なもんだなぁ!』」
突然、いつもとは違うセリフでうさぎ人形が話し出す。
「あなた、しゃべれるの?」
私は目を丸くして聞いた。
「『そうだヨ、バーカ! これからは、おいらが王さまのうさぎになるんだからなぁ。つまらないおまえなんてもうお払い箱さ!』」
「なんですって!」
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