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カッとなったわたしは機械人形のくびをつかんだ。
「思い通りにさせないんだから。あんたなんかこうしてやる!」
うさぎ人形の首の根本を引きずり出すようにしておもいっきりぐいっと引っこ抜く。
手から落ちてうさぎの頭は、ぽーんとボールのように人はねして床に転がった。
その時ふしぎなことが起きた。
次の瞬間、なぜか飛んでいたのはわたしの首だった。
わたしの首は宙を回り、床をてんてんと跳ねてころりと床に転がった。
いったい何がおこったの?
すると、上から大きな頭が影になってわたしを見下ろした。
それはわたしの顔によく似ている。だけど私じゃない。
だってこんなに目は赤くてぎらついてないし、こんなに前歯が長くないもの。
そいつはうさぎ人形によく似た声で笑った。
「おまえとおいらはもう入れ替わったんだよ。今日からおいらが王さまのうさぎさ」
「『そんなぁ!』」
悲鳴をあげたわたしの声はうさぎ人形の声と同じだった。
「『王さま、王さま!』」
わたしは部屋に戻ってきた王さまに助けをもとめた。
だけど、王さまは気づいてくれない。
「余のうさぎ人形はどこだ?」
と、王さまがニセモノのわたしに聞いた。
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