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ぱたりとひとつ素早い瞬きをして、ずっと感じていた違和感の元を……自身に見つける。
落とした視線の先には、さとるくんの膝と向かい合わさる同柄のチェックのスカートから覗く、紺のハイソックスを履いた自分の脚。
さとるくんの胸元を押しやっている自分の腕は、さとるくんと同じ紺のブレザーを着ていて、
さらに視線を引いた首元では、濃いブルーのリボンが、窓の隙間から吹き込んできた黄昏色を纏った風に、ふわりと揺らされた。
あれ……?
私……
「そ、そうだ……私……受験勉強してて、それで……」
「寝ぼけてたの? まだまだこれからじゃない“教師への道”は」
「う、うん……」
私の記憶は、夢の中の思い違いだったと気づき、
制服を着る自分が今、2ヶ月後に迫ったセンター試験のために猛勉強中だったのだと、はた、と顔を上げた。
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