368人が本棚に入れています
本棚に追加
小さな首の違和感に一瞬眉を寄せ、空気の流れを感じた頬とは反対側のほっぺたに、圧迫感を感じる。
重い瞼を開けると、次第に全身の意識が覚醒してきた。
せっかくの心地の好さを消してしまった不快感を解消しようと、うつぶせていたらしい身体をゆっくりと起こした。
いまだに、はっきりとはしない視界には、おぼろに見える窓ガラスが、綺麗な橙色を発光させているのが映り込んでくる。
眩いほどの輝きに一瞬目が眩み、指の背で目元を押さえると、
「おはよ」
前触れなく横から聴こえた声に、ぴくん、と自分の指が跳ねた。
身近に人の気配を感じ、まだ違和感の残る首をそちら側へゆっくりと回す。
「よく眠れた?」
「……」
ようやく、というより、そこに居る人物のお陰で、どきっと驚く心臓が、一気に私の目を覚まさせた。
最初のコメントを投稿しよう!