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「さ、さとるくん……」
「相変わらず、揺すっても起きないんだもんな」
頬杖をつき、ふふ、と細められる黒の瞳に、胸はどきどきと急く。
「こんなひと気のないとこで寝てたら、悪い人に悪戯されるよ?」
「ご、ごめんなさい……」
そうだった。
私、調べたいものがあって……図書室に来てて……
頬の熱さを感じながら視線を落とすと、手元にはノートと参考書、たくさん並んだ本棚から抜き出してきた本が数冊、窓から差し込む綺麗な橙色に当てられていた。
いつの間にか、寝ちゃってたんだ……
「毎日、遅くまで根詰めすぎじゃない? こんなとこで寝ちゃうなんて」
「……あ、うん……でもやらないといけないことって結構沢山あって……」
「夜更かしは、美容に良くないよ」
ちょっとだけ私にお叱りの言葉をくれるさとるくんは、おもむろに私の頬に手を伸ばしてきた。
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