アサキユメミシ。~autumn~

6/20
前へ
/26ページ
次へ
「駄目だよ……バレちゃう……」 「何が?」 「……私達が、付き合ってるなんて、噂にでもなったら……」 「噂って……今さらじゃない、そんなの」 「……え……」 「皆、知ってるでしょ? 俺達が付き合ってること」 「……え?」 「文化祭で、“ベストカップル賞”貰ったばっかじゃない」 「……」 べ……、 ……べす……? にこりと微笑むさとるくんは、呆気に取られる私の後頭部へと掌を滑らせると、じり、と間近に顔を寄せてきた。 どきん、と飛び跳ねる心臓が、傾く黒の瞳の思惑に気づく。 「ま、待って……さとるくん……っ」 「し。……静かに……。   図書室では騒いじゃいけませんって習わなかった?」 囁くさとるくんの吐息が口唇に吹きかかると、迫り来る制服の胸元を、慌てて、ぐぐ、と押しやった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

368人が本棚に入れています
本棚に追加