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「駄目だよ……バレちゃう……」
「何が?」
「……私達が、付き合ってるなんて、噂にでもなったら……」
「噂って……今さらじゃない、そんなの」
「……え……」
「皆、知ってるでしょ? 俺達が付き合ってること」
「……え?」
「文化祭で、“ベストカップル賞”貰ったばっかじゃない」
「……」
べ……、
……べす……?
にこりと微笑むさとるくんは、呆気に取られる私の後頭部へと掌を滑らせると、じり、と間近に顔を寄せてきた。
どきん、と飛び跳ねる心臓が、傾く黒の瞳の思惑に気づく。
「ま、待って……さとるくん……っ」
「し。……静かに……。
図書室では騒いじゃいけませんって習わなかった?」
囁くさとるくんの吐息が口唇に吹きかかると、迫り来る制服の胸元を、慌てて、ぐぐ、と押しやった。
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