アサキユメミシ。~autumn~

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「……」 「……」 『ベストカップル賞』、なんて…… そんなの、“今”の私達に……認められるわけ…… 無理矢理距離を取らされた黒の瞳は、じとっと据わったような眼で私を見つめる。 「俺がどれだけ我慢してるか、わかってるの……あきな先輩?」 「……」 「……」 「……え……?……」 首を傾げながら私を見つめる黒の瞳が、突如発した聴き慣れない響きに、……思わず目を見開いてしまった。 「え、と……今、なんて……」 「ん? 俺がどれだけ我慢してるかって……」 「違う……そうじゃなくて……今……」 見開いたままの目の前には、首を傾げるさとるくんと、ぷわぷわと浮かぶたくさんの疑問符。 ただの、聴き間違い……? 「先輩? どうしたの」 「……っ」 じゃない…… 今、『先輩』って…… 「わ、私は、……一応、ここの教師で……」 「え? 何言ってるの。まだ受験生真っ最中のくせに」 「……」 じゅ、けん、せー……?
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