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「……いいの。
凄く、……嬉しかったから……」
恥ずかしげに隣へと柔らかく目線を流すあっきーな先生を、目を細めた悟流が受け取る。
「……」
あー、やっぱりか……
悟流がわざわざあっきーな先生をここに連れてきたわけ。
この顔見れば、納得だ。
馬鹿正直すぎる悟流にとって、自分の想いを隠し通すことがどれほど難しかったか。
青臭いガキ共に、冗談でも言い寄られている自分の女目の当たりにして、気分がいいわけなかったはずだ。
自分のものだと周りに告げられない自分の立場にどれほど苦しみ、
その所為で、あっきーな先生にだってどれだけ淋しい思いをさせていたか。
公に出来ない関係に、苦虫噛み潰すような横顔、今日まで何度見てきただろう。
でも……なんか、この顔見たら、すげー安心した。
「うん、そっか……ならよかった」
あっきーな先生の笑顔にあてられたからなのか、しくしくと肩に乗っていた何かが、す、と取り払われたような開放感に口の端が和んだ。
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