**

7/7
562人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
モラルと背徳感の壁を取り払われた心から、恥ずかしげもなく想いを吐露しきると、つい今まで、熱くたぎらせていた空気が、す、と動きを止めた。 「あきなさん」 「……うん?」 私を呼んでくれる愛おしい声に、素直に応えると、 「そんなこと言って……明日、学校行けなくなっても、知らないから」 「え……?」 いつかのように軽々と私を抱き上げるさとるくん。 初めて逢った日、ふたたびの再会をした日…… さとるくんは、運命とも呼べるあの日と同じ位置から、同じような横顔を見せてくれて、 『俺でよかったですよ』 『……こういうことしちゃ、駄目』 ぎりぎりで自分を制してくれたあのときとは全く逆の気持ちで、 「俺の自制心、振りほどいたの、あなただからね」 すでにその場所を知っている暗がりに潜む部屋の扉を、とろけそうに目元を細めて開け放った。 .
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!