チギリ~spring~

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* 「佐伯くん、ごめんね。私が待たせちゃってたの……」 二階まで上がってくるなり、すぐにあっきーな先生は申し訳なさげに眉を下げる。 「いやいや、あっきーな先生が謝ることないって。逆にごめんね、二人っきりで居たいのに、悟流のわがままに付き合わせちゃって」 「ううん、そんなこと……」 どこに羞恥を覚えたのか、なぜだか頬を染めるあっきーな先生は、 「あの、……卒業おめでとう、佐伯くん」 あらたまった様子で、悩殺なスマイルを添え律儀に祝いの言葉をくれた。 「おー、ありがとうござい……」 「リョウ」 「ま、す」 「部屋どっち」 「……あ? あー、そっち左側の……」 ことごとくオレの言葉を遮り、むす、とあからさまな嫉妬を見せつける悟流。 おー、こわ。 いつもは澄ました顔で気取ってるくせに、あっきーな先生のことになると途端に目の色を変えやがる。 自分以外に向けられた悩殺スマイルが、よっぽど気に食わなかったらしく、 はてなマークをぷわぷわと抱えるあっきーな先生の手を、ぐいと引っ張って歩き出した。 「……」 ガキか、おのれは。 .
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