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ぽかんと口を開けたままのナオキの手から滑り落ちるマイクが、そのまま床に叩きつけられると、
ごととんっ、とエコーの効いた鈍い音と同時に、ぎん、としたハウリングがスピーカーから不快に鳴った。
周りのメンバーもナオキの異変に気づき、一斉に振り返ってくる。
皆の視界を邪魔しないようにとその場からはけ、見渡す彼らの反応は、……全員がナオキと一様だ。
うわー、想定どおり過ぎる反応。
超ウケる。
むなしく空のオーケストラだけが元気に鳴り喚く小部屋で、全員の視線はオレの後方へと一点に会する。
振り向かずともわかる、視線を集めるのは、……二人の手元。
「ど……」
次第に口をわなわなと震わせ、真正面をぷるぷると指差すナオキは、
「どういうことだよーっ!!」
先陣を切って、おそらくここに居る全員の気持ちを、カラオケの伴奏を地で超える大絶叫で代弁した。
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