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『ずっと口濁してきたから、ちゃんと言っておきたかったんだ』
悟流からは、今日の卒業パーティーに際して、自分とあっきーな先生との関係を皆に話しておきたい、と事前に打ち明けられていた。
もう卒業したんだから、わざわざ暴露することもなかったろうに……
この男は、律儀にもほどがある。
クラスメートの集まる小部屋に、あっきーな先生を引き入れた悟流は、
「皆なら、きっと俺達のこと素直に認めてくれると信じて、……連れて来たんだ」
繋いだ手を離さないまま、なんともタイミングよく雰囲気を煽るバラードのイントロが流れ始めた部屋で、律儀な男は呆けたままの皆の前で事実を吐露する。
「噂とかで、結構言われてたこと……あれ、本当だから。色々聞かれても曖昧に流してきたけど、
……付き合ってるから、俺達」
ひとつわかるのは……
単に、これまで真実に口をつぐんでいた引け目からこの暴露を思いついたわけじゃないということだ。
たぶん、こいつのことだから……
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