チギリ~spring~

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* 「ドラマみたーいっ」 「禁断の関係なんてあるんだほんとにー」 「こそこそ密会とかしなかったの?」 「あっきーな超切なーい。アタシそんなの絶っ対耐えらんない」 「その障害がまた二人の愛を燃やすんじゃーん」 「ナオキ、お前あっきーな先生に結構ヤラしいこと言ってたよなー」 「馬っ鹿だなケイゴくん。何言ってくれちゃってんのかなー。ぼぼ、ボクはそんなこと一度だって……ははは」 「あー、あれね。マジでお前のこと、いつ殺してやろうかと思ってたんだ」 「さ、悟流くーん……」 皆から一通りの質問攻撃に、応えられることには応えきった悟流は、一番入り口に近い場所に座り、あっきーな先生と耳打ちで談笑している。 当然、彼らのその手は繋がれたままだ。 もしかしてあの手、一生あのまんまなんじゃねーの。 組んだ膝に頬杖をついたまま、じゅごごご、と薄っすいメロンソーダをすすり上げ、疎ましげに正面に座る仲睦まじいカップルを見つめる。 「……」 ま、仕方ないか…… 今日の卒業まで、彼らは学校内外に限らず直接的な接触を全くといっていいほど避けていたんだから。 いっつも目線だけで微笑みあってるのは、わかってたけど…… ほんとに有言実行だもんな。 『“今”を満たすために“先”を棒に振るようなことするつもりない』 親友には関心の域通り越して、尊敬に値するわマジで。
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