第1章

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 高校の頃、僕には無二の親友がいた。  共通の趣味、同じクラスに同じ部活、僕らが互いに連絡先を交換するのに時間はかからなかった。  テニス部ではダブルスを組み、テスト前は一緒に勉強し、登下校も共にした。僕らは同性であるにも関わらず周囲から『夫婦』と冷やかされたものだ。  勿論、その気は無いから笑って否定したのはいい思い出だ。  お揃いの赤いリストバンドを互いに送った事を知られたら本格的に夫婦扱いされてしまうだろう。  大学に進学した後も暫くは会っていたがその内疎遠になったのはいつからだっただろうか。  あれから数年後、その親友から一通の手紙が届いた。  内容は『先日結婚した』『未だにテニスは続けている』の二つ。そういった報告は嬉しいものだ。  ラケットを握ったガッチリした体型の旦那さんに奥さんを中心に家族、友人が囲っている同封された写真。  幸せ満喫中、というような写真に頬がにやけるも……ある事に気付き首を傾げる。    親友の姿が見えないのだ。  数年会ってなかったとは言え面影ぐらいは分かる。  そういえば親友はやけにスキンシップと言うかボディタッチが激しい奴だった。そんなどうでもいい事を思い出した時、写真のある一点が目に止まった。 ――写真中央の奥さんの腕に付けられた、見覚えのある赤いリストバンドに。
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