生はまこと造反に尽きる

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  ……桃さまが、 若い女と結婚? 常軌を逸した女性の思惑で、 そんなことに? あの夜桃さまは、 なにも言っていなかった。 彼の性格上、 そんなやっかいな話があるのに 私を好きだなんて 言うはずがないと…… 思いたい。 不倫の経験があるからって、 モラルがないわけじゃない。 あのとき私だって、 苦しかった。 先生に結婚している 相手がいること、 知らないふりを するしかなかったんだ。 そう思うと、 桃さまの気持ちが 痛いほどわかる。 おまけに彼は、 本来の相手にひどい方法で 復讐されたっていうのに。 涙が出てきた。 浦川さんが、 いくらか私を気遣う 思いから出た言葉を 口にしてはいたけれど── 私は、 完全に蚊帳の外だった。 .
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