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「拗ねてるだけだわ」
「その上自分の旦那や義父を
いいように言いくるめて、
桃に若い女をあてがって
見張ろうだなんて──
あんたのやってることは、
まるで色狂いのサイコパスだ」
「彼は、私のものよ」
「桃が、知らない女と
結婚なんかするわけないだろ。
……あまり男をなめるなよ」
ちっと溜め息混じりに
舌打ちをして、
浦川さんの足音が遠ざかる。
やがて取り残された
女性も動いた。
エレベーターの呼び出しボタンを
苛立った様子で押し、
乗っていったようだ。
ポーチを持つ手が、
かたかたと震えていた。
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