絶望のその先

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僕には親友がいた。 幼稚園で出会い、一緒に遊んだり遊ばなかったり。 その頃の仲は良くも悪くも無かったと思う。 ――この頃はまだ、好き嫌いなんて有って無いようなものだから。 僕達が仲良くなったのは、小学四年生の時。 クラスで同じ班になった事で、会話することが増えたからだった。 初めはぎこちなかった会話も、班で行動する度に円滑になり、次第に、毎日のように放課後は一緒に遊ぶようになった。 運動場の片隅にある遊具や、近くの公園で遊ぶことが多く、家に帰る頃には服はいつも土で汚れていた。 家にお邪魔したりする事もあったけど、僕達は外遊びに夢中だった。 中学生になっても仲は良くて、クラスが別々になっても、休み時間になる度に会いに行って、笑顔で迎えてくれるのが嬉しかった。 しかし、僕らの別れは突然だった。 「親の仕事の都合で引っ越したらしい」 そう聞いたとき、僕は言葉を失った。 欠席の理由を聞くつもりが、思いがけない返答に頭が追い付かなかった。 先週までは何も変わらず、引っ越すなんて一言も言ってなかった。 週明けに訪れた悲しい知らせを聞いた僕は、受け入れられずにしばらく落ち込んでいた。 「引っ越し先は誰にも教えないでほしい」 そう担任に伝えたうえで引っ越していた事も知り、僕は更に傷ついていた。
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