7月

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「じゃ、またお昼にね」 用務員さんはそう言って立ち去ろうとするのを、「待って」と里中君が大きな声を出して止めた。 「教えてください! 前も同じ事があったって、それは2年生? その時の話を聞かせて下さい。 聞かせてくれるまで、腕を離しません」 内気な里中くんが、しっかりと用務員さんの腕を掴んでいる。 「こら、離しなさい! 食器を片付けるから」 「お願いです。 本当の事を教えて下さい。 俺、もしみんなが信じてくれなかったら…… 疑われていたんです。 だからこそ、前に何があったのか知りたいんです」 里中くんは必死で訴えている。
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