7月

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木下さんの話に、一瞬みんながシーンと静かになった。 「俺、信じてもらえて良かったよ。ありがとう」 里中君が、ボソっと小さい声でつぶやいた。 「当たり前だよ。 絶対、信じ合おうね」 私が話すと、スマホに【リトル梨沙】が複雑な顔をして現れた。 「梨沙達は純粋ですね。 だけど、青葉学園が望んでいるのは、純粋さではありません。 人を押しのけてでも、目標を達成する強い心。 梨沙達の優しさがマイナスにならないといいと思います」 マイナスになったら、どうなるんだろう。 学園に必要ない人間として認定されたら…… 不安が膨らんでいく。 「俺は、影じゃなくて、正々堂々と表で行きたい。 それは許されないのか?」
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