7月

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放送を聞いて、呆然と立ちすくむ私達。 隼人君だけが、放送が流れたマイクに向かって大声で叫んでいる。 「話が違う! 誰か1人を選べとしか聞いていない。 俺だけにしてくれ!」 教室の壁をドンドンと悔しそうに叩く隼人君。 その横で、佐々木さん木下さんが泣いている。 里中君は拳をぎゅっと握り、必死で我慢している。 これから起きる事の恐怖を感じながらも、隼人君だけを犠牲にせずにすんだ事にほっとした。 隼人君の叫び声と、佐々木さんと木下さんの泣き声が私を苦しめる。 叫んでいる隼人君を後ろから抱きしめた。
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