7月

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一体、佐々木さんに何が起こったの? 「佐々木さん、返事をして!」 私も悲鳴に近い声で叫んだ。 佐々木さんの悲鳴はどのくらい続いていたのだろう。 しばらくすると、嗚咽に変わっていた。 何度呼びかけても返事はない。 ただ、泣き声だけが聞こえる。 木下さん、佐々木さん、女性を狙っている。 次は私? 私は悲鳴を上げそうになるのをこらえて、しゃがみこんだ。 夕食も食べてしまった。 今起きているから薬は入ってなかったはず、だけど、もし薬が入っていたとしたら…… なぜ、もっと用心しなかったのだろう。 里中君が私の部屋の壁を叩く音がする。 「諏訪さん、大丈夫? 佐々木さんに何があったかわからないし、諏訪さんのことも心配だよ」
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