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「佐々木さん、大丈夫?」
少し時間をおいて、佐々木さんから返事が返ってきた。
「大丈夫じゃない……」
「ごめんなさい。当たり前だよね。
何があったか教えてくれる?
つらかったら後でいいから」
佐々木さんの悲しげな声に胸が痛くなる。
だけど、何があったのか知りたい。
次は私かもしれないから。
「私……
昨日の夜、すぐに寝てしまって、物音に気づいて、目を開けたら身体が椅子に拘束されていたの。
逃げようとしても、ロープがキツくて逃げれなかった。
小さい電球の光で、真っ黒の目出し帽をかぶっている男が見えた……
だけど、そこまで。
急に真っ黒になって、身体に何か虫みたいなものが這っていて……
それは、パジャマの中にも入ってきて……
気持ち悪くて……
その虫がいなくなった後も、ずっと身体を這う感じが残っていて、泣き続けた」
なんてひどい……
佐々木さんにかける言葉が見つからなかった。
身体に這う虫。
想像しただけで、吐き気がする。
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